新型コロナウイルスワクチンの副反応について
―新型コロナウイルスワクチンの副反応について―
近々、日本でも新型コロナウイルスワクチン接種が開始されようとしています。院内掲示およびホームページでもお伝えしましたが、現在日本だけでなく世界中で緊急事態宣言やロックダウン発令等で新型コロナウイルスの蔓延を抑えようとしていますが、結果的にはなかなかコントロール出来ない状況が続いています。そんな中で私たちはワクチン接種での集団免疫獲得による感染抑制に期待しています。これらのワクチンは有効率が95%前後あり、その効果が大変期待されているものです。しかし既に接種が始まっている世界各国を見てみますと、残念ながら当初の計画と比べ接種数があまり増えていません。現在のコロナ禍の中でワクチン接種に従事できる医師数や看護師数が大幅に不足していることもありますが、もう一つの大きな理由はワクチンの副反応に対する住民の過度の不安にあるようです。我々は情報過多の時代にあり、平素から不正確な情報に振り回されることが多くなってきています。今回のワクチンについても然りです。マスコミの報道も、人々に不安を煽るような内容のものが増えているような印象があり、私たちはその中から正確な情報を抽出し、自分で判断していかなければなりません。
ここで情報の一つとして、日本に最初に導入されようとしているファイザー社のアメリカでの接種後の副反応のデータについてご紹介します。12月にアメリカで189万人に接種した後に重篤な副反応であるアナフィラキシーショックを合併した患者さんは21人で、約10万人に1人の割合です。アナフィラキシーショックは、重篤なものは呼吸苦を伴い生命に関わることもありますが、これらの方々は全てエピネフリンという注射により症状は改善しています。今後実施される予防接種でも、当院を含めて各医療機関における個別接種や集団接種の際にはエピネフリン注を含めた救急対応の準備を行います。
ときどき接種後に死亡した事例の報道も見られますが、実際にはワクチン接種が本当の原因と特定できないことが殆どです。これについて検討するときに、基礎知識として我々は次のことを予め知っておく必要があります。日本の65歳以上の高齢者数は3,588万人で、同年代における救急搬送件数は年に約353.9万件(平成30年 救急・救助の現況)です。また死亡数は年に約123万人(平成30年人口動態調査より)です。つまり毎日約1万人の方が救急搬送され、約3,600人の方が亡くなっています。そしてこのことはワクチンを接種する、しないに関わらず同様でしょう。しかし多くの方はワクチン接種後に救急搬送や死亡等の事例があると、ワクチン接種が原因ではないかと考えてしまいます。本当にワクチンが原因でしょうか? 答えは、アメリカにおける個々の症例評価の結果、ワクチン接種との明確な関連が認められた症例はないというのが現在分かっている客観的なデータです。
もちろんワクチンが100%安全とは言えません。数多くの方に接種すればある程度の副反応は起こり得ます。しかし上記のようなデータと、現在の新型コロナウイルス感染蔓延の状況からすると、ワクチン接種が最善の方法と私たちは判断しています。感染抑制に繋げる大きな手段として、出来るだけ多くの方に予防接種を受けて頂くようご協力をお願い致します。
令和3年1月28日
やなぎ医院 院長